ドラマの書き方

第1回 テーマは必要か?

世の中にはさまざまなスタイルの戯曲があり、また常に新しいスタイルのドラマが生まれています。「ドラマの書き方」というようなことを書くこと自体、新しいスタイルが生まれれることを阻むようにはなりはしないかとおそれます。しかし、初めてドラマを書く人が、「どんなに書いてもいいのだ」と言われるとやはり途方に暮れてしまうのではないでしょうか。そこで、一応、初心者のためにこのようなページを立ち上げてみました。それぞれのやり方で参考にしていただければと思います。

そこでテーマですが、もちろんテーマなどなくてもかまわないのです。ナンセンスな演劇や客を笑わせることに徹すると言う演劇があっていいと思います。しかし、これはなかなか難しいことです。初心者はやはりテーマを決めて書く方が書きやすい。

私が高校の演劇部で活動していた頃、顧問の先生から、テーマは20字以内に書けなければならないと教えられました。是非はともかく、一つのやり方だと思います。例えばどのようなテーマがあるでしょう。「友情」とか「愛」だけではテーマになりません。

「友情はすばらしい」「友情なんて信じられない」「愛はすばらしい」「本当の愛なんてこの世にはない」というふうに「何がどうだ」と言えて初めてテーマになると思います。一つのテーマで一つのドラマを作ることが出来ますが、私の場合、サブテーマを作ったり、2つ3つテーマを並列させる場合もあります。長いこと戯曲を書いているとだんだんとひねくれてきて、私の場合は、最近はテーマがはっきりと観客に分からないように書くようになってきた傾向があります。なぜって、世の中って複雑で、「友情はすばらしい」とか「友情なんて信じられない」など、どちらともすっぱりと割り切れるものではないですよね。

さて、「友情はすばらしい」というテーマを決めたとします。登場人物に「友情はすばらしい」なんて言わせたところで、何にもならない。(言わせてもいいのですが、ドラマとしてテーマを提示したことにはならない。)ストーリーの中でこのテーマを観客に分からせなければいけないのです。

このように、テーマ自体はだれもが分かり切ったことでかまわない。ドラマの中で客に、どのように新鮮にこのテーマを提示するかが問題なのです。

(2005-2011.4.5)

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