ドラマの書き方

第3回 どういう場面を設定するか?

テーマが決まったとします。
さて、そのテーマを描き切るにはどういった時代や場面を使えばいいでしょうか。たとえば「平和は大切だ」というテーマを選んだとします。このテーマは戦国時代を題材にしても描けるし現代を題材にしても描けるのです。もちろんSFで、未来や近未来に時代を設定しても描けます。自分の得意の場面を選べばいいのです。

ところで、17〜18世紀には古典劇に「三一致の法則」というのがありました。これは

@劇の行為(筋)は一つでなくてはならない、
Aその劇行為は持続時間が一日24時間以内でなければならない、
B劇行為の展開される場所は5幕を通じて1カ所でなければならない、

とするもので、モリエールの劇を始め多くの古典劇がこの法則に基づいて書かれました。
現代、このような法則に基づいて書いているような劇作家はまずいないと思いますが、このような法則があったと言うことは頭の片隅においておいた方がいいと思います。つまり、芝居は映画や小説とちがって制約があります。映画や小説のようにころころと時間と場所を変えるわけにはいかない。変えてもいいですが、大きな舞台装置を何度も転換するのは大変です。第一、転換に時間がかかるので観客は暗転の間、退屈します。また、あまり時間や場所をころころ変えると観客は混乱してしまうと言うこともある。ただし、逆に、そういうことを逆手にとり、小劇場では、舞台装置を簡素にし、時間を過去へ戻ったり現代に戻ったり自由に移動するような芝居もあります。さらに、観客をわざと混乱させるために時空を何度も移動させることもある。

さて、あなたほどの方法を選びますか。
中学生の書いた戯曲などを見ると、ほんの数行で場面が変わり、多場面のものをたくさんみかけます。多場面にするのに特別な意図があれば別ですが、そうでないとやはり読む方は読みにくい。
初めて芝居を書く人は、「三一致の法則」で書けとはいいませんが、できるだけ場面や時間を変えないで書くほうがとっかかりやすいし、人にわかってもらいやすいと思いますが、いかがでしょうか。

(2005.12.25)

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