ドラマの書き方

第2回 何語で書くか?

ドラマを書こうとする時、何語で書くかが問題になりますよね。これを読んでいる人はほとんど日本人でしょうから、先ず日本語にしぼって考えてみましょう。すると、標準語で書くか、方言で書くかという問題があります。若い人は標準語(東京の言葉)で書く人が多いようです。私の場合は以前は標準語で書くことが多かったですが、今は和歌山弁で書くことが多くなっています。前によく標準語で書いた理由は、標準語のスピード感が魅力だったのです。それに、方言(和歌山弁)はあまりに身近すぎて なんとなく抵抗がありました。ドラマはあくまでフィクションの世界ですから、あまりになじみの深い言葉で書くと、客観化できにくい気がしたのです。最近はなぜ方言で書くことが多くなったのか。それは、やはり、自分の語彙を広げたいと言うことがあります。それに方言は語尾に生活感がでます。標準語では表現尽くしきれないニュアンスを、方言はちょっとした言い方で表現します。我々が一寸した旅行で、地元のお年寄の聞き慣れない言葉を聞くと、ほんとに嬉しくなってしまいますよね。良質のドラマが少なく、バラエティ番組が多いテレビの影響で、日本語はだんだん貧弱になってきているように思えます。ここに戯曲の存在意義があります。表現の幅を広げるために、これからますます方言で書かれるドラマが多くなってくるのではないでしょうか。

しかし、これはあくまで一般論で、別役実の作品のような不条理劇では、やはり、余り生活感のない標準語の方がふさわしいのかもしれません。もちろん方言で書かれた不条理劇の出現を否定しませんが。そういうのが生まれると面白いかもしれません。いや、私の知らないところですでに生まれているかな?

(2005-2011.4.23)

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